私たちは時に負の感情を抑える傾向があります。

それは誰かを傷つけないために。
調和を乱さないために。
冷静で落ち着いた自分であろうとするために。

そしてイラッとしたこと、悲しかったこと、寂しかったこと、つらかったこと、そういったことを自分の感情の容器に封じ込めます。

けれど、何度となく負の感情を入れたその容器は、やがて飽和します。
パンパンに膨れ上がります。

そして時に、その状態を心が、体が、もう無理だと暴発することがあります。

お腹が痛くなることで。
頭が痛くなることで。
文字が読めなくなることで。
頭が回らなくなることで。
朝起きたら身体が動かなくなることで。

予防医学の分野では、三次予防と言われる言葉があります。

一次予防が、生活習慣の改善、健康増進
二次予防が、早期発見・早期治療
三次予防が、リハビリ、再発防止

三次まで来てしまってからの対処はもちろん大事ですが、本当はもっと早い段階での対処ができればなおいいでしょう。

メンタルヘルスしかりです。
体に出てから、うつになってからではもう遅いんです。
その手前で早めに予防しておくことが必要です。

だから、心の容器にしまいっ放しではなく、できればその時その場所で、負の感情を消化することが一番でしょう。

感情は生ものだから消化しないと悪くなっちゃうんですね。

消化するとは、感情に気付き、感情を認め、感情を表現すること。
感情を表現するとは、感情を書く、つぶやく、言う、大声で叫ぶ、等々。

けれど、長く生きてきた中で、ずっと心の容器に感情を閉じ込めて生きてきた人は、そう簡単にはこれまで溜めてきた感情を取り出すことができません。

そんな時は、安心安全が確保された場で、つらかったこと、悲しかったこと、腹がたったことを、一つ一つ丁寧に取り出して、消化していくことも一つかもしれません。

それはまるで、パンドラの箱を開けて様々な感情が解き放たれていくかのような。

人生という長い期間において、そうせざるを得なかった負の感情を、この広い世界の大空に解き放つことができた時、あなたは気づくでしょう。

身軽になって解放感に包まれた本当の自分自身に。

あたかも積年の感情が成仏したかのように。