<10の認知の歪み>

メンタル面で弱っている方の考え方は、その状態が重ければ重いほど、特有の歪んだクセを持つ傾向があります。

「どうして自分だけが~」
「~さえなければ~」
「~なのに」
「~ねばならない」
「~に違いない」
「~してくれない」

etc・・・

こんなことばっかり四六時中考えていると、ある種、歪んだメガネを常時かけている状態と言ってもいいのかもしれません。

歪んだメガネをかけ続けていると気持ち悪くなってきますよね。

それと同じことが、認知の歪みメガネをかけ続けることによって、自分自身の心の状態まで不健全なものとなっていきます。

では、ここで主な「認知の歪み」と呼ばれるものについて、例を上げて解説していきます。


①白黒思考

物事を白か黒か、0か100か、成功か失敗か、敵か味方かといったように、両極端の見方をしてしまう考え方。曖昧な状態を受け入れられず、完全主義的傾向が強いため、時に相手や自分を裁いてしまう。「反対意見を言ったやつは敵だ」、「一番でなければ自分はダメだ」といったような思考。

②過度の一般化

たまたま起こった出来事など、一つか二つの事実を見て、全てがこうだと思いこむ考え方。「いつも~」とか「決して~ない」、「~に違いない」といったような考え方や言い方をする。一度忘れ物をしたら「いつも忘れてばかり」、忙しいからと言って断られたら「あの人は協力的でない」といったような物言い。

③選択的抽出

物事の悪い面ばかりが目に付き、他のことは何も見えなくなってしまう。肯定的な面を無視する。極端な時は100あるうちの99が良くても、ダメな1をピックアップして、傷口に塩を塗るようにネガティブな思考をする。「スピーチで声が震えてしまった自分はやっぱり駄目だ」などと考えて、ほとんどがうまく話せていたのに、一か所だけうまくいかなかったことを失望する。

④マイナス化思考

何でもないことや良いことまでを悪いように考えてしまう傾向の考え方。うまくいったことは「たまたまうまくいっただけ」、誉められても「お世辞を言われている」と悪いようにしか取らない。これまでもそしてこれからも、自分に対しても他者に対してもあらゆることを悲観的に考える。

⑤拡大解釈・過小評価

自分や他者の短所や失敗などを拡大解釈し、長所や成功を過小評価する。ちょっとした失敗を膨らまして自己や未来に否定的な思いを抱く。「あの人が目を合わせなかったのは自分を嫌っているからだ」、一度車をぶつけてしまったら「自分には運転なんて向いてない」などといったように極端に考えてしまう。

⑥感情的決めつけ

自分の感情の状態を基準に物事を考えてしまう。例えば、絶望感に取りつかれていると客観的にはそれほどのことではなくても「事態は絶望的だ、もう駄目だ」としか思えなくなる。不安が強いと「自分にはできない」などと考える。

⑦先読み

まだ来ぬ未来を、「○○かもしれない」、「○○に違いない」と悲観的な予測を立ててしまう考え方。例えば恋人から一日メールが来ないと「もう二人の関係は終わりだ」などと考えてしまう。あるいは、もしこうなったらどうしよう?こんな風になったら?こんなことが起こり得るのでは?などといったように、全てのうまくいかない可能性を持ち出して前に進もうとしない。

「もし雨が降ったら?」「交通事故に遭ったら?」「槍が降ったら」などと次第にエスカレートしていき、実際にはあり得なそうなことまで持ち出すこともある。

⑧深読み

相手の気持ちを一方的に推測して「きっとあの人は○○と考えているに違いない」と相手の心を読んでしまう。例えば相手が会話中にふと時計を眺めたら「きっと自分の話はつまらないと思っているのだろう」と考えてしまう。

この考え方の背景には「他人からの評価が自分の価値を決めてしまう」という歪んだ考えがあることが多い。人からどう思われるかを必要以上に気にして動揺してしまう。

⑨べき思考

何をするにおいても「こうすべきだ」、「こうあらねばならない」という厳しい基準を作り上げてしまう思考パターン。厳しい基準を課すため、何をやっても満足感を得られず自己嫌悪に陥ってしまう。これが他者に向かうと他者は傷ついたり不快を感じ、人間関係が行き詰まりやすい。

「絶対弱音をはいてはいけない」、「私は失敗してはならない」、「絶対目を見て話すべきだ」などといったように、何か息苦しさを感じるような思考パターン。

⑩レッテル貼り

他人を偏った見方を元に一言で表現すること。一度失言してしまったことを「KY君」などと言ったり、一つの失敗や挫折を元に「落伍者」などと決めつけた物言いをする。


こういったように、「認知の歪み」は、極端な思考をすることで自分や他者を生き辛くしていきます。認知メガネの度が強すぎるとダメなんですね。

メンタルヘルスにとって大切なことは、程よい緩みです。

上記のもので、状況によって必要なことはあると思います。
例えば、オリンピックに出たいのならば、べき思考はある種必須です。練習しないといけませんものね。

けれど、そういった必要性がない時に、そしてそれが結果として非建設的なものであるとき、自分や周囲に悪影響を及ぼします。

ほどよく「ゆるし」のマインドを持ってやっていければ、自分も周りもうまく回り始めるのかもしれませんね。