それぞれの家庭にそれぞれの独特の空気感があります。
目に見えないものなのに肌で感じる、心で感じる。

しかもなんとはなしにひしひしと。

あったかい空気感。
ピリピリした空気感。
人を包み込むような雰囲気。
無関心な様子。

それぞれが自分の世界を持っているような家庭。
様々です。

そして、それぞれの家庭にそれぞれの価値観が何気なく息づいています。

世間体を大事にする家族。
学歴や肩書こそが全ての家族。
何よりもお金こそが生きる上で大事という家族。
家族みんなが仲良くやることが大事という家族。

生まれてくる子供にとって家族という環境は選べません。
言葉に表せないその家族に流れる価値観にどう対峙するのか?

受け入れるか受け入れないか、基本的に二択です。
選ぶのは自分自身です。

選んだ選択肢への表現の仕方はそれぞれですが、その人なりのやり方で表現していくことになります。

あの家庭になぜあんな子が?というのはある意味、十分ありえることなのです。

両親が警察官、あるいは両親が教師の家庭に、時にこの子はなぜ?ということがしばしば起こります。

それは、その子が家族価値を受け入れなかったということ。
善かれ悪しかれ、その価値観に対し自分なりの表現をしたのです。

同じ親に生まれて同じように育てたのに、何できょうだいでこんなにも性格が違うんだろう?という話をしばしば聞きますが、これはアドラー心理学の観点から考えれば、ある種当然のこととも言えます。

子どもはこの世界に生を受けてまもなく、自分の立ち位置を決めなければなりません。

自分以外のきょうだいが両親の価値観を身に着けてうまくいっていたとして、自分もまた同じような価値観を身に着けて同じように愛や承認や自尊心を得られば問題ないでしょう。

ところがそう簡単にはうまくいきません。

自分の方が、注目されていないような愛されていないような、きょうだいと比べて劣等感を感じるような状況に置かれた時、人はそのままの状態に我慢し続けることはなかなかに難しいでしょう。

そして、両親の価値観に沿ってそのまま生きていくか、イエスかノーを迫られるのです。

そこにメリットを感じられないどころか、むしろ生き辛さを感じた時、例えばルール・規範に従って言われた通りに生きていけば親から認められるのだとしても、デメリットを感じたら親の言うことなどそうは聞かないでしょう。

これが、時に両親の最も嫌がることをするグレた子が育ってしまう理由なのかもしれません。 両親の家族価値に真っ向から対抗して。

もしかしたら子供たちは、両親の最も弱い所を知っていて復讐しているのかもしれません。

ただ、明らかに子どもは良かれ悪しかれ両親の家族価値の影響を受けます。

伝統重視であれば、伝統に対して従順になるか伝統破りの人間になるのか。

いずれにせよ、本人のセンサーが働くのは「伝統」というキーワードを感じた時です。

お金の有無~経済面が全てという家族価値であれば、お金を得ることが最も大事になるのかもしれないし、あるいはそれとは全く真逆のお金に絶対縛られたくないであるとか、お金よりももっと大事なことがあるという価値観で生きていくかもしれません。

それにしてもいずれにせよ、「お金」というものに対して、センサーがより敏感に働くでしょう。

ちなみに、私の母方の家族は親を大事にする、家族に献身的に尽くす、そういった雰囲気なのか価値観なのか、なんとはなしに感じていました。

親戚のおじさんおばさんのその親に対する、私にしてみれば母方の祖父母に対する介護のあり方の話を両親から聞かされてきました。

私の母親による姑への、すなわち私の父型の祖母への介護の様子を見てきました。

いろいろあって関係は良くなかったものの、約10年ぐらいでしょうか、きっちりその任を務めました。

介護と簡単に言いましたが、母親の話を部分部分聞くにつけ、相当大変だったろうなぁと感じます。

また、私の母親の父への終末期の献身的な介護の様子を見てきました。

父方で言えば、父は生前にはいろいろ目に付くことがあって、私も結構ブーブー行ってきましたが、ただ、困難への向き合い方について言えば、不屈というか凄まじい努力ぶりでした。

なんとはなしに私が感じている私の家の家族価値、それは忍耐、努力、献身といったものかなと思います。

さて、私はその価値観を受け入れているのか受け入れていないのか。
すでに受け継いでる部分も多々あります。

効率云々じゃなく、馬車馬的にがむしゃらにやるやり方で何とかなると思っているのは、親父譲りでしょう。

忍耐・努力については受け継いでいるように思います。
しかし、献身についてはずっと見せつけられてきました。

対人援助職として携わり、人の支援という意味では献身的なあり方は近いかもしれませんが、正直分からないです。

こうして書いてみると、結構両親の家族価値を受け継いでいるような気がします。

よくあるのが、あんな父親のようには絶対なりたくなかったと言いながら、アドラー心理学のライフスタイル診断という人生カウンセリングみたいなのをやっていくと、「親父と一緒だ・・・」と言って、絶句される方もいます。

親のやり方、親の子育ての仕方しか見ていないから、他のやり方はなかなか考え付かないのです。

さぁ、皆さんはどうでしょうか?

皆さんの家庭の家族価値はどういったもので、自分はその家族価値に対してどう向き合っているのでしょうか?

なかなか分かるようで分からないけれど、それが言語化された時、きっとスッキリするのかもしれませんね。

ライフスタイル診断