以前、生きる意味や働く意味をテーマにして講演したことがありました。
とは言っても、私たちはそんなこと普段考えることはないでしょう。
そこで、ある例えを出しました。
飲食店の皿洗いのバイトをしているとします。
目的は遊ぶお金が欲しいから。
これ昔の私ですね。すし屋で働きました。
お金さえもらえればいいわけです。
だから余計なことはしないし考えない。
ただその時間働くだけ。
必要最低限やることやったらさっさと帰る。
以上。
そしてあとは遊ぶ。
お金がなくなったら、しゃあねぇなぁバイトでもすっかとまたバイトする。
ところが同い年のバイト仲間に将来銀座にお店を持ちたいという人がいるとします。
やる仕事は全く同じ。皿洗い。
スピードも仕事のレベルもさっきの人と一緒。
むしろさっきの子の方が手際がいいかもしれない。
そして時間が来たら帰る。
以上。
ところが、ところがです。
その子の目的はお金だけではない。
将来銀座に店を持ちたいんです。
そうすると仕事の内容も結果もまったく同じ二人のバイトの子なのに、頭の中は違ってきます。
片や余計なことは考えない。
方や将来銀座にお店出すために、先輩の動きを見る。
握っている様子を見る。
お客さんをいかに回転よく回しているかを見る。
接客を見る。
経営者の話を真剣に聞く。
もはや次元が違うんですね。
もう一つ例を上げましょう。
国立競技場の現場で鉄骨を組み立てている三人の人がいました。
道行く人が聞きます。
「何してるの?」
一人が答えます。
「鉄骨を組んでいるのさ。」
もう一人が答えます。
「体育館を作ってるんだよ」
最後の一人が答えます。
「2020年の日本オリンピックの競技場を作ってんだよ。」
やっている仕事は鉄骨を運んで組み立てている。
なのに、全く同じ仕事をしていても意味づけが違うのです。
「働く」に「意味」が加わった時、その仕事の質なり、その仕事にかけるモチベーションも変わってくるのではないでしょうか。
更に、その意味に自分ならではのものが結びついた時、これが働く意味となり、生きる意味となる。ひいては人生のミッションにもつながる。
自分自身の働く意味を知った人は揺らぎません。
働く意味を見出した人は誇りを持ち、困難を耐えます。
働く意味を知った人は失敗を恐れません。
でも、そんなの考えたことないし、分からない・・・
そもそもこの仕事でいいのか迷っているし・・・
なんてことを思うかもしれません。
そりゃ当然です。
私なんて若い頃はパチンコと麻雀ばっかりやってました。
働く意味なんて聞かれても、は?です。
しいて言うなら、大当たりの快感がたまらないんですとか、役満をツモッた時、脳汁が出るんですなどと答えたかもしれません。
・・・話がずれてきました。
言いたいのは、生きる意味とか働く意味とか、あるいは、やりたい仕事とか天職なんてものは、ハイこれですなんて簡単に見つかるものではないということ。年を重ねていく中で段々近づいていくものなのかもしれません。
ただ、自分の働く意味といいますか、自分にとってやりがいのある仕事に就いている人の特徴は次の二つがあるのではないかと思うんです。
一つが、今与えられたこと今やっていることに熱心に取り組むこと。
私なんて自慢じゃないですが、パチンコの釘の見方とか勝つための計算とか本気でやってました。
麻雀も麻雀道ではないですが、20年間無敗の男と言われた伝説の雀士、桜井章一の姿を追い求めるように打っていました。
あぁ、私のことなんてどうでもいいですね。
要は今やってること今与えられたことを、たとえつまんなかったとしても真剣に取り組むこと。つまらなかったその仕事がやり続けていくうちに自分の天職になることもあるでしょう。
そしてもう一つが、ためらわないこと。
人生でうまくいかない人の特徴として、チャンスらしきものが目の前に来た時にためらいの態度を見せる。
頭の中で、まだ来ぬ未来を、あぁだこうだとばかり考えて、考えに考えて結果やらない。
これはやらないための理由探しのゲームです。
理由なんて極端な話、風が吹いたら桶屋が儲かるじゃないですが、何でもいいのかもしれません。
そしてその目的は、自分が傷つかないために。安全であるために。
そうじゃない。
昔のハリウッドの格闘俳優、ブルース・リーは言いました。
「考えるな、感じろ!」
私は言いたい。
「考えるな、やっちまえ!」
結論。生きる意味、働く意味なんて分からなくても、今目の前のことを一生懸命やり、目の前にチャンスらしきものが来たら、あれこれ考えずやってみること。
たとえ怖くても。無理と思っても。転職するにしても。
失敗しない方法なんて簡単です。
やらなきゃいいんです。
何もしなければ失敗することはないでしょう。
ハイなんて手を上げなければいいだけです。
傷つくこともないでしょう。
ただ、その時その人は、人生において失敗しているのかもしれませんね。
あなたはどう生きますか?