不安障害(不安症)にはホルモンバランスや体調が影響する?

こころの科学という雑誌の特集で、「不安症の事典」という本が出されています。この本は主に精神科医などの専門家を対象とした本です。

その中で貝谷久信先生、佐々木司先生、清水栄司先生という方々が不安症について対談されています。

不安症とは、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、PTSD等の総称です。

この本の中で印象的な言葉をいくつかピックアップします。

・不安をコントロールする際に大切なことは体調を整えること。

・早く寝て疲れをとることは重要。夜更かししない。日中はちゃんと体を動かす。

・内因的(家系的、遺伝的)にこころの病気を発症しやすい人には薬は効きやすいが、虐待を受け不安症などを発症した人には薬は効きにくい。

・社交不安症でも相当多くの人が双極性障害を合併する。

・不安症にはSSRIが効くが双極性障害にはSSRIは使えない。

といった所でしょうか。
ちょっと難しい所もあったかとは思いますが、この中で私が特に印象的だったのが、体調の良し悪しが不安症の調子にも影響を及ぼすということです。

以前、私のもとに相談に来られた社交不安症の方も、どうもホルモンバランスの周期で、症状の程度が全然違うと言いました。

不安症の中でも、特に社交不安症の方は10代20代で発症するのがほとんどです。

いわば一番体力があるときですので一概には言えないのかもしれませんが、人によってはこういった体調面を改善することで症状が軽減することもあるかもしれません。

夜遅くまでゲームやネットなどやって睡眠不足の不安症の方は、一考の余地があるかもしれませんね。

全般性不安障害は何でもかんでも不安になる

そう言えば、以前に関わった方で全般不安症(全般性不安障害)という精神疾患をお持ちの方がいました。

これは文字通り、様々な場面で過剰な心配をしてしまい日常生活に支障をきたすものです。なかなか大変です。

その方は働くことについてのご相談でした。
能力的には充分就労可能な方ですが、とにかく心配しすぎ。

「この仕事内容、私にできるんでしょうか?」
「やっぱりパソコンの訓練した方がいいのかしら?」
「しばらく休んだほうがいいのでは?」
「この会社合ってないのでは?」
「私の年齢だと無理なのでは?」
「息子の方が心配で」
「締め切り間に合わないのでは?」

といったような様々なことを聞いてくるので、私は一つ一つ答えるのですが、同じ質問を何度も何度も繰り返すのです。

佐藤さん調べておいてもらえます?
これはこういう話でしたけどどうなっているんですか?
役所に確認してもらえます?

などといったような、それ本来あんたがやることでしょ的なことを要求することなど、こちらを結構振り回すことが多くなってきたため、やれることは自分でやるようきっちり線引きしました。

しかし、その不安の電話攻勢に私もややグロッキー気味に。

少し落ち着いてきた時は、私の気分はボクシングのラウンド間でコーナーにもたれている感覚でした。

いつまたゴングが鳴るかと思うとこっちが不安症になってしまいそうです。
ミイラ取りがミイラになってしまいます。

また、こんな人もいました。

「もし〇〇だったらどうしよう」と。

私は、確かに可能性はあるけどその時はこうしたら?などと答えます。

そこまではいいでしょう。
しかしそこから更に展開します。

「更にこう言われたらどうしよう?」
私は、いや~まずないと思うけどその時はこうでは?などと答えます。

しかし、相手は更に攻めてきます。
「それでももし万が一こうなったら~」

「明日雨が降ったら~更に傘が壊れてしまったら~カッパを持ってなかったら~」

「研修でその人と同じ班だったら~もし隣なんかに座ってしまったら~なかなか抜けられない研修だったら~違う班でも少人数だったら~」

ヌオーッ!!!
グワーッ!!!

何かよく分かんないけど、絶叫したくなります。

もうとんでもない確率の世界ですよね。
そうなる確率が仮にシンプルに20回に1回として20×20×20=8000分の1回。

んなもん、あり得ねぇだろと内心思うのですが、相手は真剣です。
こちらも心配はきちんと聞きます。

まぁ、ハッキリ言えは進みたくないんでしょうね。
やらないための言い訳探しを永遠にしているのかもしれませんね。

コンコン、コンコンと、石橋のあちらこちらと叩いては、あれ?ここ大丈夫かしら?とやり、カンカン、カンカンと叩いては、この響きは禍の音?などと意味不明な心配をします。

そうして、カンカン、コンコン、ガンガン、バンバンと次第に叩くエネルギーが増していき、やがて石橋を壊して渡らない。

その時、一抹の安心感が身体を包む。
ほれ見ろ、やっぱり危険だったじゃないの、渡らなくて正解だったわ。

そして永遠に川のこちら側に居続ける。

こういった方には、一般的な薬物療法や心理療法もいいでしょうが、私は一番効くのは希望という薬かなと思っています。

何せ、向こう岸がもやががって見えなくて不安になっているのですから、そこに希望という暗雲取り払いスプレーをシュッシュと掛けることで、ついでに希望の架け橋まで掛かる。

ついでに私とも離れられる。
なんて一挙両得な話に違いありません。

以上、今日は不安症に影響するホルモンバランスやマインドの話でした。

(参考記事)
不安障害(不安神経症)が抱える漠然とした不安への対処法